2017年の10月から放送開始したアニメ『Dies irae』
CFで一億円を集めた作品がなぜ苦戦したのか?
前半12話の感想。放置された伏線(?)を考察。
ファンとして後半に望む事についても徒然と語ってみた。
前半12話の感想と考察
アニメ『Dies irae』は0話から総集編まで、
系13話をテレビで放送し、後半6話+総集編を
ネット配信する※全18話の構成となっています。
まずは総集編を除いた前半12話の感想から
語っていきたいと思います。当然ながら
ネタバレ全開なので、念のため
未視聴だ、という方はご注意ください。
※話数のカウントは総集編を除く
『Dies irae』(ディエス・イレ)
TVアニメ「Dies irae」公式tiwtterより引用
©light/Dies irae ANIME PROJECT
前半が終わった所の感想になりますが
原作のシナリオライター、正田 崇さんが
自身でシリーズ構成・脚本を担当しただけあり
全話にわたって致命的な設定の齟齬や改変は
存在しなかったと言えます。
尺の都合もあって若干駆け足になった印象も
ありますが原作の再構成という点でみても
中々上手く仕上がっていたかな、と。
ただ勿論これも賛否両論があって、特に
4話『蜘蛛』における改変は良くも悪くも
大きな反響があった回でしたね……。
大幅に改変された主人公覚醒回
アニメの4話は初めて主人公が聖遺物の力を
自覚的に扱い、敵を倒す。所謂“覚醒回”。
原作においても人気のあるエピソードで
『形成(笑)』等とあだ名される人気者
永劫回帰中、どうやってもカマセになる
黒円卓第十位、ロート・シュピーネこと
シュピーネさんが大活躍(主にカマセ)する回。
『Dies irae』(ディエス・イレ)
4話『蜘蛛』より引用
©light/Dies irae ANIME PROJECT
放送前PVでも一部公開されていたし、
少なくないファンが期待していた回の為、
手堅くまとめてくるだろうというのが
大方の予想だったのですが……。
大筋は変わらないものの、まさかの改変。
戸惑うファンが続出しました。
その改変とは主に以下のようなもの
どうでもいいけどこの画像めちゃくちゃ胡散臭いな……
①香純(偽)の胸に黒子が無い事に気付かない
②「時よ止まれお前は美しい」がない
③狼狽えるシュピーネに対し「顔の差かな」がない
改変された元のシーンは原作でも
人気のある部分だったので
「そこが大事だろ!」と口惜しく思うファンが
出てくるのも自然なことかと思います。
ここでかなり賛否が分かれました。
ただ、
個人的に4話の改変は肯定派なのです。
『Dies irae』(ディエス・イレ)
4話『蜘蛛』より引用
©light/Dies irae ANIME PROJECT
香純(偽)に気づかないことで
激昂した蓮は怒りのままに覚醒。
拘束された四肢を自ら引きちぎりながらも
聖遺物の力によって再生しシュピーネを撃退。
自分の身が引き裂かれようとかまわない、
必ず香純の仇を討つのだという狂気的な執念。
それだけ香純(日常)を大切に想っていた、
より蓮の渇望が強調される改変であり
その点で良改変だという認識です。
そして原作には見られなかった
有機的な聖遺物の動きは人器融合型の特性を
よく活かしてるのでアニメならではだな、と。
放送前は腕のギロチンをどう動かすのか
ファンの間でも議論になっていましたが
アニメとして上手い表現だと思います。
余談ですがこの演出はおそらく
『東京喰種』等を参考にしたものでしょう。
実際、アニメ放送前、正田さんがニコ生で
アニメ化する際参考にした作品の一つに
上記の作品を挙げていました。
神父の影は後半の伏線だった?
こちらも4話からの出典になりますが
蓮が建設中のビルで神父を見つけたとき
彼に光が当たった際現れた謎の影について。
『Dies irae』(ディエス・イレ)
4話『蜘蛛』より引用
©light/Dies irae ANIME PROJECT
正直管理人にも謎で……妥当なのは
この時まで善人だと思っていた神父の内面が
おぞましい怪物であることの示唆、でしょうか?
しかし後半エピソードのPVに注目してみると……
『Dies irae』(ディエス・イレ)
アニメ『Dies irae』2018年PV第1弾 より引用
©light/Dies irae ANIME PROJECT
もしかしてコレ?
微妙にシルエットが違うような気もしながら
でもイメージとか、そもそもPVでは
まだ映されていない場面で同じような格好で
登場するかもしれない……。これはこれで
後半への楽しみが増えた感じです。
フライング登場した終曲蓮
4話の衝撃からアニメにおいて最高傑作回との
呼び声も高い5話を挟んでの6話。
原作ゲームにおいては黄金の獣こと
敵の首領、ラインハルトとの初戦闘で
彼の強大さを知る、という回ですが……
ここでも4話に匹敵する改変がおき
ファンを驚かせることになりました。
『Dies irae』(ディエス・イレ)
6話『黄金の獣』より引用
©light/Dies irae ANIME PROJECT
蓮の創造、『涅槃寂静・終曲』の登場。
仮面ライダーでいえば最終一歩手前、
準最強フォームがまさかの序盤でお目見え。
最初の創造『美麗刹那・序曲』すら
体得してない時点ではまず起こりえない事態で
そもそも原作ゲームのマリィ√には登場しない形態。
マリィ√を元にしているアニメでは
登場しないだろうと想定していただけに
かなりのサプライズでしたね。
とはいえ、個人的な考察ですがこれはあくまで
ガワが終曲なだけの創造未満形態なのでは?
終曲の能力である
「自己加速&加速と同等の停滞を周囲に強制する」
がまったく発動した様子がなかったので
この考察が妥当かな、と。
どこかで答え合わせできないのかな。
一応円盤は購入済みなのですが録画がある為
まだ未開封なんですよね……。
なにかあれば後で追記します。
まとめ
前半12話の中でも得に賛否が別れた点を
ピックアップした、感想と考察でした。
個人的にはこれと言って特筆するべき不満や
違和感などはなかったのですが……とはいえ
ファンの間で意見が割れるのも仕方ないと
思われる改変だったとは思います。
後半ではどのような改変が行われるのか
あるいは行われないのか、今から楽しみであり
少し不安でもあり……。まあ何があっても
管理人は受け止めたいと思います。
厳しい批評が生じたワケ
3千万に設定されたCFの目標金額を
二か月の募集期間がありながら
なんと23時間で達成。最終的には
国内最高金額約1億を記録!
事前にアニメ制作会社の発表もなく
その為PVやアニメ設定画もない状態からの
この結果は間違いなく快挙。
これ以上ない最高のスタートを切った
アニメ『Dies irae』。しかしいざ放送を
開始すると前評判から一転し、
厳しい批評に晒されることになりました……。
事前期待値の高さ
正田さん曰く、Diesのアニメ化は
2011年頃から話は来ていて、それでも
アニメ化に踏み切らなかったのは
原作を軽んじられる可能性があったから。
そしてクオリティの面で不安があったから
『Dies irae』(ディエス・イレ)
0話『黎明』より引用
©light/Dies irae ANIME PROJECT
以前よりファンの間でもアニメ化を希望する声は
チラホラと出ていて、最終的に規制や改変
作画の問題から難しいと思われてきました。
正田さん自身も公式の場で何度か言及しており
クオリティが低くなるくらいなら反対、
という旨の発言を原作者自らされていた。
以上の事からDiesのアニメ化はまずない、
という共通認識があった所で……
まさかのアニメ化企画の発表。
「まじかよ!?」
と驚いた方も多かったのでは?
結果的にCFは大成功をおさめ、ニコ生では
Ayumiさんや服部代表が有名な制作会社から
アニメ化の話が来ているとも発言。
今は退社されましたがまゆきDも
「過去のタイトルとかを見ると結構楽しみなスタッフになりそうな感じで今予定は進んでいます」
Re: Happy light Cafe ~2015全国縦断トークキャラバン秋葉原公開録音~より引用
と発言されていました。
なにより以前はクオリティの面という
ファンと近い目線でアニメ化を断ってきた
正田さんが(CFの結果を受けて)ノリ気である
という点でファンの期待感は最高の物に。
Diesは最初に発表されたのが2007年なので
10年越しの想いもあるわけですから
これも当然の事でしょう。
高いとは言えない作画の質
Dies iraeというアニメを語るにあたり、
「作画」に触れない訳にはいきません。
前述のとおり、CFで前代未聞の結果を
叩きだした同作品は既存ファン以外の間でも話題に。
自然クオリティの高い作画で動き回るアニメを
期待するファンも少なくありませんでした。
『Dies irae』(ディエス・イレ)
0話『黎明』より引用
©light/Dies irae ANIME PROJECT
しかし実際に出来上がったアニメの作画はというと
決して悪くはない。悪くはないものの、
現在のアニメの作画と考えると、
あまり良いとは言えなかった……。
その上0話が説明をあまりしない、
バトル主体のストーリーだった為
作画に要求されるレベルが高く
既存ファンは元より新規のファンを
大いに困惑させる事に。
まとめ
事前期待値の高さとそれを下回る作画の質。
そして原作者が脚本を担当しながら、
“原作者に”改変された名シーン(上の項目を参照のこと)。
以上がアニメの評価へ響いた大きな原因でしょう。
とはいえ、
「アニメ化しない方が良かった」
とは思わないんですよね、あくまで個人的には。
確かに事前にファンが望んでいた
高クオリティのアニメ化ではなかった。
でもアニメをきっかけにして
新たにファンになった人もいる。
当初予想された勢いこそなかったものの
アニメ化したからこその新規ファンや
新規展開もあったわけで、その点ですでに
「アニメ化した意義は確かにあった」
と個人的には考えています。例えば
6月3日に行われたDiesのスペシャルイベント
「創造・ヴェヴェルスブルグ城」がいい例で
アニメがなければこのようなイベントが
行われる事もなかったでしょう。ちなみに
管理人もイベントに行ってきました!
昼の部のみですが記事の準備が出来次第
詳細なレポ記事を投稿します。
後半に望む事
7月1日からAbemaTVにて一挙配信が
予定されているDies iraeの後半エピソード。
総集編も合わせた7話を配信する予定で
総集編タイトルが
「Marie’s Memory『未知に通ず軌跡』」
そして残り12~17話が
「To the ring reincarnation」
と、発表されました。
アニメ『Dies irae』2018年PV第1弾(公式配信)
PVをざっと観た感じ、前半より作画の質が
向上しているように思えます。
Diesの後半エピソードに求めるもの、
これはやっぱり「作画の質」、ですよ。
アニメのエピソード改変に関して、
不満がない立場としては「作画」が
一番の懸念事項……。
lightの服部代表曰く、後半エピソードは
①12話以降はスケジュールがある
②スタッフもDiesに慣れ始めてきた
③作画も良くなっているので嬉しい
④落胆はしない出来だと約束できる
とのこと。
やはり一番の見どころは流出合戦、
これが高いクオリティならもう言うことはない!
順当に蓮VSラインルトとなるのか、それとも
まさかの三つ巴となるのか……。
期待してますよ正田卿!
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