『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』にクトゥルフと聖書の影!旧神と外なる神/救世主と反救世主

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の怪獣観。

ゴジラは古き神であり救世主?

反対にギドラは外なる神で反救世主だった?

過去作オマージュの劇中小ネタも合わせて解説。

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今作における怪獣

モンスターバースシリーズにおける

ゴジラをはじめとした怪獣たちは

現在の人類が地球の覇権を握る遥か以前に

地球の支配者だった存在であり、

自然の調律者で実質神、という位置づけ。

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公式Twitterより引用

© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

日本におけるゴジラ(怪獣)の概念を

引き継ぎつつも、劇中で彼らの生態を

神話を元に紐解いていく事から神話生物

あることを強調されている。

ドハディ監督自身もラブクラフトさながら

古代神の蘇りを表現したかったと語り、

つまりはクトゥルフ神話的要素も

取り入れられています。

旧神(あるいは旧支配者)=ゴジラ他地球産怪獣。

外なる神=ギドラ。

という構図はおそらくクトゥルフを少しでも

かじったことのある人ならば

すぐに連想できたのではないでしょうか。

クトゥルフ以外にも聖書風の世界観を強く

意識させられる要素もありました。

怪獣により黙示録の様相を呈していく世界。

その混沌の中心には偽の王=反救世主のギドラ。

つまりは

救世主(キリスト)=ゴジラ。

反救世主(アンチキリスト)=ギドラ。

↑のような構図ですね。

実際、インタビューにおいて監督自身が

「黙示録的な終末感を出したかった」

と発言されています。

以上のことから今作では既存の怪獣概念に

西洋の神話要素が加わったことで、

ローカライズされた新しい怪獣像が

確立されたと言えます。

ちなみに、今作で初登場した

マンモスみたいな謎怪獣の名前は『ベヒモス』

山から現れたのは『メトシェラ』

この二体は聖書関連の名前を与えられている為

なにか凄い役割があるのではと考えましたが

劇中ギドラに操作された後はエンディングで

ゴジラにこうべを垂れていた以外に

特筆する活躍もなく……。

この二体に関しては単にフレーバーなのか、

それとも続編で何らかの役割が与えられるのか……。

どちらにせよ現状はあまりに名前負けしているので

これだけ神話的要素を絡めて場を整えたのだから

何らかのテコ入れはしてほしいところ。

閑話休題

さて、この項目ではそうしたハリウッド版で

活躍した怪獣の中でもメインを張った

いつもの面子、でありながらアメリカの気風を

纏い、新生した彼らについて語っていきます。

ゴジラ

前作『GODZILLA ゴジラ』から続投、同一個体。

『KOM』では前作以上に過去のゴジラ映画への

オマージュが見受けられました。

デザインでいえばよりオリジナルに近くなった

背びれと、太く、力強くなった足。

それ以外の外見的変化は基本的に無いものの

鳴き声に日本のオリジナルに近いパターンが

追加されていたのはとても嬉しかったですね。

日本人ならその叫び声を聴いただけで

「ゴジラだ!!」と親しみを覚える事でしょう。

前回はオリジナルの声からは些か離れており、

外見も併せて、いまいちゴジラ感は薄かったのですが

今作の彼はまさしく「ゴジラ」でした。

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』【特報3(日本語吹替ver.)】より画像引用

©2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

そしてまさかのバーニングゴジラ

この状態はギドラとの戦闘の最中、

米軍が開発した

『オキシジェン・デストロイヤー』

撃ち込まれ、著しく消耗してしまった際、

復活させる為に芹沢博士が己の命を代償に

ゴジラへ核を届けた結果の姿。

核によって回復したものの、

その身に収まりきらないエネルギーが

外にあふれ出る(爆発する)寸前の状態。

設定、赤く発行するビジュアルからも明らかに

『ゴジラvsデストロイア』における

バーニングゴジラのオマージュでしょう。

さらに、VSシリーズお馴染みの

『体内放射』らしきものまで使用してくれる。

それに加えて怪獣の女王と称された今作の

モスラとは「いい仲」なのだとか。

監督、自分の怪獣カップリングを公式にして

お出ししてくるともうクレイジーすぎる。

だがそこが良い。完璧だドハディ監督。

……というか自分、子供の頃に

ゴジラが夫で嫁はモスラ!と、

ねつ造設定ブチあげて玩具で遊んでたので

内心で叫び声上げてしまった。

幼少期の妄想(黒歴史も甚だしい)が

公式になったので色々感無量です。

モスラ

冒頭の回想シーンにあったゴジラをのぞけば

今作で劇中最初に登場した怪獣。

旧来までのモスラのイメージを踏襲しつつも

より怪物色の強いデザインとなった。

しかし、その神秘性は今作でも健在で

成虫に成長し、モナークの基地がある地点、

海底のゴジラの許へ現れたシーンは

宗教画の如き神々しさでした。

消耗したゴジラの許に現れたモスラ

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』予告2 より画像引用

© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

他の怪獣が男性名詞で呼ばれる中

唯一女性名詞で呼ばれる存在で

怪獣の中でも特別なポジションにいるらしい。

今作に盛り込まれた神話要素から、

天使の中で唯一女性的に表現される

『ガブリエル』を彷彿とさせられます。

ゴジラの項目にも記載したように

怪獣王であるゴジラとは「良い仲」。

種族が明らかに違うが劇中の登場人物曰く

「種が別でも愛は生まれる」との事。

『怪獣王』であるゴジラに対して

『怪獣の女王』と呼ばれる。

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』【特報3(日本語吹替ver.)】 より画像引用

© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

ギドラの攻撃からゴジラを庇う場面は

『GMK』のオマージュだろうけれど

今作ではゴジラとの関係もあって

より悲劇的なシーンとなっている。

実質今作のヒロイン

ラドン

今作の愛され(?)枠。

ギドラにボコられ手下となったくせに

ラストはちゃっかりゴジラに平伏している等、

活躍の悉くが残念な印象を持たせる。

一部ファンからはスネ夫とか

怪獣界のスタースクリームとか

ごますりクソバードだとか

散々弄られている模様。

とはいえ、VSギドラ戦は相手が悪いし

手下と化したのも偽りの王たる者の力が

これまた強かった為であり、劇中では

ゴジラとモスラ以外の怪獣が同様に

ギドラに操られてしまったことから

ラドンが特別ダメな子というわけでは無い。

回転して戦闘機を墜とすラドン

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』予告2 より画像引用

© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

復活直後のモナークの面々が乗る飛行船との

追いかけっこは今作でも有数の見どころ。

シリーズでは初の本格的な怪獣空中戦。

回転しながら戦闘機を落とすシーンは

文句なしにかっこいい。なお、この後に

ギドラと遭遇し……。

キングギドラ

南極で氷漬けになっていた所を

ジョナ率いる傭兵部隊とエマに開放された。

偽りの王であり、ゴジラのライバル。

歴代のギドラ同様、今作でもゴジラを

単体で圧倒するすさまじい戦闘力を持つ。

さらに宇宙怪獣というオリジナルの

アイデンティティも受け継いでいる。

ちなみに地球の神話において

西洋ではドラゴンといえば悪魔であるが

東洋においては聖なるものとされる。

作中においてはこの悪魔がギドラであり

ゴジラが聖なる龍に該当することが示唆された。

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』予告 より画像引用

© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

また、宇宙怪獣故か、他の怪獣より

さらに特殊な能力を持っていて

ゴジラにちぎられた首が再生したり、

ハリケーンを纏って移動することが可能

加えてゴジラとモスラ以外の怪獣を操る等

偽りの王たる力を存分に見せつけました。

怪獣は自然の力の擬獣化、あるいは

神格化である今回のシリーズにおいて

日本の地震のように、アメリカで馴染み深い

自然災害を今作のギドラ(敵)が己の力として

振るう点は興味深い。それに加えて

偽りの王の力で世界中の怪獣を暴れさせ、

混沌とした破壊と共に君臨する姿は十字架が

印象的なカットと相まって

黙示録の赤い竜(獣)めいていた。

まさにあちらの文化圏における恐怖の対象と

されるものを具象化したに等しい。

より❝倒すべき敵❞としてのキャラクター性が

強調されています。原典を尊重しつつも

ローカライズされた怪獣たちというのは

ハリウッド版ゴジラの見所の一つですよね。

そんなギドラの最期は

ゴジラの体内放射(仮)で

再生する間もなく焼かれ、

最後に残った首も咥えられたまま

放射熱戦で焼き尽くされる、凄惨なもの。

しかし、エンドロール後に一本だけ

首が残っていたことが判明し、それを

怪しげな商人からジョナが購入する場面が……

ちなみに

『ゴジラvsキングギドラ』では

一旦ゴジラに敗北したギドラが

未来人の科学技術によって

『メカキングギドラ』に新生し、

再びゴジラに立ち向かう姿が描かれました。

勿論これに再び敗北をするギドラでしたが

その残骸から

『ゴジラvsメカゴジラ』において

今度はメカゴジラが造られることに。

……もしかして残されたギドラの首は

メカキングギドラやメカゴジラ参戦の伏線?

だったらいいな……。

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