感想・解説『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は怪獣賛歌の物語

ゴジラ
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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の感想と解説。

歴代ゴジラやガメラからのオマージュ、

映画の隅々にまで配置された小ネタを解説。

残された次回作への伏線と考察もまとめました。

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総評

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(以下KOM)は

ゴジラに息子の命を奪われた元夫婦と

生き残った娘という、

ゴジラ(怪獣)の被害者家族を中心に

怪獣と人類との関わりが描かれる。

 

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』予告3

東宝MOVIEチャンネル(公式配信)

 

前作のラストでは半ば英雄視されていた

ゴジラの負の側面が続編で

ピックアップされる様は

『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』』的。

(レジェゴジは上記の作品ほど完全に

正義の味方のような描き方は

されていなかったとはいえ)

 

前作から指摘されてはいましたが

レジェゴジにおけるゴジラ自身の設定と

合わせて、モンスターバースシリーズは

ゴジラというよりかは

平成ガメラ三部作的世界観と言えます。

 

先史文明の遺跡

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』予告2 より画像引用

© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

 

今作と同じ世界観を共有する

『キングコング: 髑髏島の巨神』。

同作品において提示された地球空洞説

これが事実だと判明し、モナーク一行が

海底の空洞で発見した先史文明の遺跡

そこには古代の人間が

ゴジラを王や神のように崇め、

共生していたことを伺わせる痕跡がありました。

そういった箇所も平成ガメラにおける

超古代文明関連の設定を想起させられます。

 

一方でしっかりとゴジラ映画からの

オマージュも随所に散りばめられており

例えばキングギドラは作中

『モンスター・ゼロ』とも呼称されますが

これは『怪獣大戦争』でX星人が使用する

ギドラの別名であり、同作品は

『GODZILLA VS. MONSTER ZERO』

とも題して公開されています。

また、ギドラはゴジラをはじめとする他の

怪獣たちとは起源が異なり、宇宙から来た、

所謂外来種であることが『KOM』で

語られます。これはそのまま

オリジナルの設定である『宇宙怪獣』

反映させた結果でしょう。

 

他にも映画の後半、

ゴジラ&モスラVSギドラ&ラドン戦で魅せた

モスラの献身が個人的には「激アツ」でした。

ギドラの猛攻によって倒れたゴジラの盾となり

光線を浴びて消滅、光の粒子となって

ゴジラへ降り注ぐ様は

『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(以下GMK)

におけるモスラの散り際を彷彿とさせます。

『GMK』ではゴジラの熱線からギドラを

護ったのに対し、今作『KOM』では

ギドラからゴジラを護った。

守護対象が逆になっている構図が面白い。

加えて両作品とも消滅したモスラの粒子が対象に

力を与えたように見える(KOMでは微妙)様子が

あるのですが、『ゴジラvsメカゴジラ』にも

似たようなシーンがあり、しかし同作では

モスラではなくファイヤーラドンが

自身を糧にその役目を果たします。

ちなみに『KOM』のラドンは火口から

姿を表しますがオリジナルの初代ラドンは

最後溶岩の中に墜落し、散ります。

それを踏まえて今作の登場個所と、翼の末端が

常に燃えているようなデザインとなった

ラドンは中々興味深いですね。

 

さて、そうした数々の

「知っていればにやりとできる小ネタ」

の数々は勿論ですが、

そんなものを知らなくとも、今作は十二分に

怪獣娯楽作品として楽しむことが出来ます。

個人的な、前作『GODZILLA ゴジラ』への

不満点として

①「ゴジラの出番が少ない」

②「いざ戦闘!と思ったら場面が飛ぶ」

③「見せ場の最終決戦で画面が暗い」

④「切り札の放射熱戦が弱そう」

というものがあったのですが今作では

そうした点がほぼ存在せず、最初から

最後まで怪獣が出ずっぱりだし、ギドラが

復活してすぐにゴジラと戦闘してくれる上、

画面が暗くて見づらい、なんてこともない。

また、お互いに飛び道具(熱線、光線)を

持っている為、戦闘が派手で格好いい。

それを現代のVFXで描いているわけだから

面白くないはずがない

 

加えてこの手の作品で問題になりがちな

人間ドラマが全くノイズになっていない。

前作ではそもそもゴジラの活躍自体が少なく

人間側に焦点が偏りがちでしたが

今作は序盤より怪獣が出ずっぱりですし

最初から怪獣が存在すると周知された状況から

始まる物語ということもあり、常に物事の核に

怪獣が存在し、焦点がぶれることがない。

長々と怪獣と関係のないシーンが

挿入されることもないので

話のテンポがよく非常にストレスフリー。

総じて、怪獣映画として人間側の描写が

完璧な配分となっていると思います。

監督の「魅せたいもの・観たいもの」が

あくまで怪獣であり怪獣同士の戦闘、

❝怪獣プロレス❞にあるのだな、と

十二分に伝わる構成になっている。

 

『シン・ゴジラ』の作中で牧教授が遺した

「私は好きにした、君らも好きにしろ」

という言葉が印象的ですが今作はまさしく、

マイケル・ドハティ監督が

全力で「好きにした」結果の産物。

画面から迸る圧倒的なまでの怪獣への想いは

紛れもなく愛!(というか半分狂気)

劇中、モナークの面々誰もが

本来脅威であるはずの怪獣たちへ親愛

向けている姿は我々怪獣映画ファンの、

そして監督自身の投影でしょう。

モナークと敵対する傭兵部隊とエマの思想は

流石に行き過ぎた危険思想だったものの、

神的存在とみなされる怪獣への信仰も

一種の怪獣に対する愛と言える。

そもそも各所のインタビューでわかるように

監督自身がゴジラを神と認識しています。

今作は怪獣への愛(と狂気的信仰)に溢れた

「怪獣賛歌の物語」

と、個人的には受け取りました。

 

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公式Twitterより引用

© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

 

皆さんはどのような感想を持ちましたか?

誰かと是非語り合いたい、と思わせる魅力が

今作にはあります。怪獣ファンなら尚更に。

しかし『KOM』が魅力的な作品だからこそ

次回作への期待と不安も高まります。

ゴジラのデザインが変化したことについて

ドハディ監督は「ゴジラは進化する」

と答えました。であれば当然次もデザイン、

そして内容の面白さ等、様々な面で

より進化したゴジラに出逢いたいですね。

次回作への伏線?

正式な名称の決定はまだですが

モンスターバースの次回作は2020年公開の

『ゴジラvsキングコング』

同作品ではついにゴジラとコングが相対し、

雌雄を決すると言います。

1962年に日本で公開された

『キングコング対ゴジラ』でも彼らは激突、

勝敗は❝引き分け❞に終わりました。

しかし、『ゴジラvsキングコング』の

監督、アダム・ウィンガードは

「勝敗を明確にさせる」と宣言しています。

勿論、ふたを開けてみれば……という事も

充分に考えられますが期待したいですよね。

個人的にはやはりゴジラに勝ってほしい所。

では順番に『KOM』に観られる、

次回作への伏線を見ていきましょう。

髑髏島関連

①髑髏島での地震発生

②髑髏島に新巨大生物が

③髑髏島の地下が巨大生物の起源か

④壁画にコングとゴジラの姿が

エンディングで次々に提示された次回作への

伏線はざっとこんなところでしょうか。

①と③は何らかの関係がありそうですね。

『KOM』で登場した先史文明の遺跡、

それに近いものが存在しているのかも?

今回登場した遺跡はゴジラ復活の為に核で

吹き飛んだから、今後は髑髏島ないし

その地下が彼の住処になるのだろうか?

その過程で同じく王の称号を持つコングと

対決することに……?

現状、コングとゴジラの間に戦う理由もないし

そもそもスケール的に戦闘が成立しないため

どのようなきっかけで対決する事になるのか

今から楽しみですよね。

 

③から考えて髑髏島は今後も重要な場所として

扱われそうですが……今更ですけど

『怪獣ランド』そのものですよね。

ちなみに怪獣ランドとは67年に公開された

『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』における

怪獣たちが住む島『怪獣島』が元になっており

68年の『怪獣総進撃』で登場したもの。

同作では国連科学委員会が世界の脅威たり得る

怪獣たちを小笠原諸島の島、つまり

『怪獣ランド』に集め平和裏に管理してた、

という設定でその後平成ゴジラシリーズでも

『バース島』として概念が継承されています。

『KOM』のテーマは怪獣と人類との共生でしたが

であれば今後、人類と共生するにあたり

ゴジラも加えた怪獣の拠点、王国となるのかも?

ちょうどキングもいるし。とはいえ

その王がゴジラとコングどちらになるのか、

それとも両方両立できるのかが問題で……。

遺されたギドラの首

エンドロールの後に、全て消滅したと思われた

ギドラの首が一本遺っている事が判明

それを商人からジョナが買い取ります。

おそらくは二度目の激突でゴジラが

食いちぎった首でしょう。

このあからさまな伏線、

旧来のゴジラファンであれば

「メカキングギドラフラグか?」

と皆考えたのではないでしょうか。

 

1991年に公開された

『ゴジラvsキングギドラ』。

同作では一度ゴジラに敗れたギドラを

未来人が回収、改造し

メカキングギドラとして新生させ、

再びゴジラに立ち向かわせました。

結局は敗北を喫したわけですが

海底に沈んだメカギドラは後に回収され

93年公開の『ゴジラvsメカゴジラ』、

これに登場するメカゴジラの素材になり

ゴジラをあと一歩まで追い詰めることに。

まあ流石にそのまんまメカギドラや

メカゴジラが登場するとは思いませんが

『KOM』にみられる過去作へのオマージュと

そこに込められた制作陣の愛を考えれば

何らかの形で上記のような過去作の設定を

流用するだろうことは考えらえます。

 

さらに、ギドラといえば今作でも電気を

吸収し、パワーアップした描写がありました。

そして『キングコング対ゴジラ』における

コングは帯電体質を持っており、

手から放電してゴジラと戦います

『髑髏島』でゴジラと比べればスケールの

小さかったコングでしたが「まだ成長期」

である設定と合わせ、コングの

パワーアップアイテムとしてギドラの首を

利用する展開はありそうですね。

しかし、そもそもどうやってコングとゴジラを

争わせるのか?

怪獣王ゴジラの下に安定した怪獣界を

コングという新たに王の資格をもつ怪獣を

擁立してジョナが混沌を起こす?

自発的に争う理由が二体にはないので

ジョナ達危険思想の人間がなんらかの

干渉を行いそうではある。あるいは

ゴジラとコングの激突は起こるとして

復活したギドラないしメカギドラが

来襲し最終的に共闘、なんて事も……?

推測に推測を重ねるしかできませんが

とはいえ一ファンからしてみれば

そうしている時間が一番楽しかったり。

どちらにせよ今後も『ゴジラ』の新作が

観られるのはとても嬉しいことです。

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